○茨城西南地方広域市町村圏事務組合消防本部患者等搬送事業に対する指導及び認定に関する要綱
令和7年1月30日
訓令第6号
(趣旨)
第1条 この要綱は、茨城西南地方広域市町村圏事務組合消防本部救急業務規程(平成31年茨城西南地方広域市町村圏事務組合訓令第3号)第47条に基づき、管内の民間の事業者による搬送用自動車を用いた、患者等の搬送業務を行う事業(以下「患者等搬送事業」という。)に対し、必要な指導を行うとともに一定の基準に適合する搬送事業者の認定を行うことにより、患者等の生命及び身体の安全を図ることを目的とする。
(用語の定義)
第2条 この要綱における用語の意義は、次に定めるところによる。
2 「患者等」とは、寝たきりの者、車椅子又は寝台を必要とする身体障害者及び傷病者等をいう。
3 「患者等搬送業務」とは、患者等を搬送するため必要な構造及び設備を備えた自動車(以下「患者等搬送用自動車」という。)を使用し、患者等を医療機関への入退院、通院及び転院並びに社会福祉施設等への送迎のために搬送する業務をいう。
4 「患者等搬送事業者」とは、患者等搬送事業を行う事業所(以下「患者等搬送事業所」という。)の経営者及び管理責任者をいう。
5 「認定事業者」とは、第22条による認定を受けた患者等搬送事業者をいう。
6 「乗務員」とは、患者等搬送用自動車に乗務し、患者等搬送業務に従事する者をいう。
(患者搬送事業の基本原則)
第3条 患者等搬送事業者は、患者等からの通報の適正処理及び患者等の搬送技能の向上に努めること。
2 生命に危険があり、又は症状が悪化すると認められ、緊急に医療機関その他の場所に搬送しなければならない患者等は、搬送の対象としないこと。
3 患者等搬送事業者は、事業の社会的責任を十分自覚し、関連法規を遵守すること。
(消防機関との連携)
第4条 患者等搬送事業者は、次の各号のいずれかに該当する場合は、119番等により患者等の居る場所、状態、既往症及び掛かりつけの医療機関等を消防機関に通報し、救急自動車を要請すること。
(1) 患者等からの要請時点において、緊急に医療機関へ搬送が必要である場合。なお、この場合は、合わせて乗務員を派遣すること。
(2) 要請者の依頼場所に到着時点において、緊急に医療機関に搬送する必要がある場合
(3) 患者等の搬送途上において、症状が悪化し緊急に医療機関に搬送する必要があると判断した場合
(乗務員の要件)
第5条 ストレッチャー及び車椅子等を固定できる患者等搬送用自動車による患者等搬送事業の乗務員の要件については、満18歳以上の者で、次の各号のいずれかに該当する者をもって充てること。
(1) 茨城県消防長会救急部会の定める患者等搬送乗務員基礎講習を修了した者
(2) 別記2に掲げる第1項第1号の者と同等以上の知識及び技能を有する者として消防長が認めた者
2 車椅子のみを固定できる患者等搬送用自動車(以下「患者等搬送用自動車(車椅子専用)」という。)による患者等搬送事業の乗務員の要件については、満18歳以上の者で、次の各号のいずれかに該当する者をもって充てること。
(2) 茨城県消防長会救急部会の定める患者等搬送乗務員基礎講習(車椅子専用)を修了した者
(3) 別記2に掲げる第2項第2号の者と同等以上の知識及び技能を有する者として消防長が認めた者
3 適任証及び適任証(車椅子専用)(以下「適任証等」という。)の有効期間は交付の日から2年間とする。ただし、第8条で定める定期講習を受けた者については更に2年間有効とし、それ以降も同様とする。
(適任証等の携行)
第7条 乗務員は、患者等搬送業務に従事するときは、適任証等を携行すること。
(定期講習の受講)
第8条 患者等搬送事業者は、乗務員の応急手当技能を適切に管理するため、適任証等の交付を受けた乗務員に、2年に1回以上、別記1に掲げる定期講習を受講させること。
(受講の申請)
第9条 定期講習の受講申請は、患者等搬送乗務員講習受講申請書(様式第2号)により消防長へ申請すること。
(適任証等の再交付)
第10条 適任証等を亡失し、又は滅失したときは、適任証等再交付申請書(様式第4号)により消防長へ再交付の申請を行うこと。
2 消防長は、前項の規定による申請を受けたときは、申請書の内容を審査の上、適任証交付簿を整理し、申請者に適任証等を再交付するものとする。
(1) 乗務員以外に医師、看護師又は救急救命士が同乗する場合
(2) 退院の場合
(3) 医師の指示によるあらかじめ日を特定した入院、転院又は通院の場合
(4) 社会福祉施設、保養施設等への送迎の場合
(患者等搬送用自動車の要件)
第12条 ストレッチャー及び車椅子等を固定できる患者等搬送用自動車は、次の各号に掲げる構造及び設備を有するものであること。
(1) 十分な緩衝装置を有すること。
(2) 換気及び冷暖房の装置を有するものであること。
(3) 乗務員が業務を実施するために必要なスペースを有するものであること。
(4) ストレッチャー及び車椅子等を使用したまま確実に固定できる構造であること。
(5) 携帯が可能な通信機器等、連絡に必要な設備を有していること。
2 患者等搬送用自動車(車椅子専用)は、次の各号に掲げる構造及び設備を有するものであること。
(1) 十分な緩衝装置を有すること。
(2) 換気及び冷暖房の装置を有するものであること。
(3) 乗務員が業務を実施するために必要なスペースを有するものであること。
(4) 車椅子を使用したまま確実に固定できる構造であること。
(5) 車椅子の乗降を容易にするための装置を備えていること。
(6) 携帯が可能な通信機器等、連絡に必要な設備を有していること。
(積載資器材)
第13条 患者等搬送用自動車には、別記3に掲げる資器材を積載すること。
(車両の外観)
第14条 患者等搬送用自動車は、サイレン、又は赤色警告灯を装備するなど、救急自動車と紛らわしい外観を呈していないこと。
(消毒の実施等)
第15条 患者等搬送用自動車及び積載資器材の消毒は、次の各号による。
(1) 定期消毒 毎月1回以上
(2) 使用後消毒 毎使用後
(3) 医師から消毒について特別な指示があった場合は、指示に基づいた消毒を行うこと。
2 消毒の実施要領は、別記4による。
3 定期消毒を実施したときは、その旨を消毒実施記録票(様式第5号)に記録し、患者等搬送用自動車内の見やすい場所に表示しておくものとする。
(安全管理及び衛生)
第16条 患者等搬送用自動車及び積載資器材については、点検整備を確実に行い、清潔保持に努めること。
2 乗務員の服装は、患者等搬送業務にふさわしいものとし、清潔の保持に努めること。
3 患者等の搬送に当たっては、患者及び同乗者に対し安全ベルトを着装させるなど、安全搬送のための措置を講ずること。
(事業案内)
第17条 パンフレット等の事業案内には、救急隊と同等の活動ができるかのような表現はさけること。
(応急手当)
第18条 患者等搬送事業者は、患者等搬送業務を行うときは、症状の悪化防止に万全の配慮を行うとともに、搬送途上において症状が悪化し緊急やむを得ない場合は、必要な応急手当を実施すること。
(知識及び技術の維持管理)
第19条 患者等搬送事業者は、乗務員に対し、患者等の安全搬送に関する知識及び技術の向上に努めること。
(認定対象となる患者等搬送事業者)
第20条 認定対象となる患者等搬送事業者は、道路運送法(昭和26年法律第183号)に定める次の者とする。
(1) 一般乗用旅客自動車運送事業の許可を受けた者
(2) 一般貸切旅客自動車運送事業の許可を受けた者
(3) 特定旅客自動車運送事業の許可を受けた者
(4) 自家用有償旅客運送の登録を受けた者
(認定マーク等の交付等)
第23条 消防長は、ストレッチャー及び車椅子等を固定できる患者等搬送用自動車による患者等搬送事業の認定を受けた事業者に対し、患者等搬送事業者認定マーク(別図1)及び患者等搬送用自動車認定マーク(別図2)を交付するとともに、認定マーク等受領書(様式第11号)を受け取るものとする。
2 消防長は、患者等搬送用自動車(車椅子専用)による患者等搬送事業の認定を受けた事業者に対し、患者等搬送事業者(車椅子専用)認定マーク(別図3)及び患者等搬送用自動車(車椅子専用)認定マーク(別図4)を交付するとともに、認定マーク等受領書を受け取るものとする。
3 消防長は、患者等搬送事業者認定マーク、患者等搬送用自動車認定マーク、患者等搬送事業者(車椅子専用)認定マーク及び患者等搬送自動車認定マーク(車椅子専用)(以下「認定マーク等」という。)を交付したときは、認定事業者台帳(様式第12号)を作成するものとする。
(認定の有効期間)
第24条 認定の有効期間は、認定を受けた日の翌日から起算して5年とする。
(認定の更新)
第25条 認定事業者は、認定の有効期間の満了後も引き続き認定を受けようとするときは、認定期間が満了する日の1箇月前から満了する日までの間に消防長に更新を申請するものとする。
2 更新時の手続は、認定時の手続を準用するものとする。
(事業の休止等)
第26条 認定事業者は、患者等搬送事業の全部若しくは一部を休止し、又は廃止しようとするときは、患者等搬送事業休廃止届(様式第13号)により消防長に届け出るものとする。
(事業内容の変更)
第27条 認定事業者は、患者等搬送事業認定(更新)申請書の内容を変更したときは、患者等搬送事業内容変更届(様式第14号)により消防長へ届出を行うものとする。
(認定の失効)
第28条 次の各号のいずれかに該当するときは、認定はその効力を失うものとする。
(1) 道路運送法に定めるところにより、国土交通大臣の許可等が取り消され又は失効したとき。
(2) 患者等搬送事業を廃止したとき。
(3) 認定の有効期間が満了したとき。
(認定事業者の責務)
第29条 認定事業者は、指導基準を誠実に履行しなければならない。
2 認定事業者は、事業に関し、消防長から求めがあったときは、消防長に報告するものとする。
(1) 患者等を搬送中に様態変化があり、応急処置を実施した場合
(2) 患者等を搬送中に様態変化があり、救急自動車を要請した場合
(3) 患者等搬送業務の遂行に支障を及ぼす重大な事故を発生させた場合
(4) その他特異な事案を扱った場合
(認定事業者の調査)
第30条 消防長は、少なくとも年1回以上認定事業者に対し、指導基準の履行状況等について調査するものとする。
2 消防長は、前項の調査結果から、不適事項と認めたときは、指導及び認定基準等に適合するように指導するものとする。
(認定の取消し)
第31条 消防長は、次の各号のいずれかに該当するときは、認定を取り消すことができる。
(1) 認定事業者が指導基準を遵守しないとき。
(2) 業務の遂行に当たって、重大な事故を発生させたとき。
(3) 社会通念上、認定事業者としてふさわしくない行為又は事故を発生させたとき。
(認定マーク等の表示)
第33条 患者等搬送事業者認定マーク及び患者等搬送事業者(車椅子専用)認定マークは、患者等搬送事業所に掲示するものとする。
2 患者等搬送用自動車認定マーク及び患者等搬送用自動車(車椅子専用)認定マークは、患者等搬送用自動車後面で運転者の視野を妨げない見やすい位置とする。
3 患者等搬送用自動車の車体には、国土交通省で定めた患者等輸送車両である旨の表示をすることとする。
(認定マーク等の返納)
第34条 認定事業者は、次の各号の一に該当するときは、認定マーク等を返納しなければならない。
(1) 法に定めるところにより、国土交通大臣の許可が取り消されたとき。
(2) 認定を取り消されたとき。
(3) 認定の有効期限が満了したとき。
(認定マーク等の再交付)
第36条 認定事業者は、認定マーク等を亡失し、又は滅失したときは、認定マーク等再交付申請書(様式第18号)を消防長に届け出て認定マーク等の再交付を受けることができるものとする。
2 消防長は、認定マーク等の再交付の申請を受けたときは、申請書の内容を審査の上、認定事業者台帳を整理し、認定マーク等を申請のあった認定事業者に交付するものとする。
第37条 この指導基準の施行に関し必要な事項は、消防長が別に定める。
付則
(施行期日)
この要綱は、令和7年2月1日から施行する。
別記1(第8条関係) 定期講習の実施基準
種別 項目 | 患者等搬送乗務員定期講習 | |
実施者 | 消防長 | |
受講回数 | 2年に1回以上 | |
講習内容 | 1 観察要領及び応急処置 | 2時間 |
2 体位管理要領 | 1時間 | |
講習時間 | 3時間 | |
講師 | 講師は、次のいずれかに該当する者とする。 1 救急隊長として3年以上の実務経験を有する者で、消防長が適任と認めた者 2 消防大学校の救急科課程の修了者で、消防長が適任と認めた者 3 消防学校の救急科課程の教官として2年以上の経験を有する者で、消防長が適任と認めた者 | |
その他 | 1 課目の1時間は45分とする。 2 消防長は、必要と認める場合は、講習内容及び講習時間等を変更することができる。 |
別記2(第5条関係) 基礎講習を修了した者と同等以上の知識及び技能を有する者
区分 | 分類 |
1 | 救急救命士の資格を有する者及び消防法施行規則第51条に定める救急業務に関する講習課程を修了した者 |
2 | 日本赤十字社の行う応急処置に関する講習を受けた者で、資格の有効期間内の者 |
3 | 上記、1及び2に掲げる者以上の知識及び技能を有すると消防長が認めた者 |
別記3(第13条関係) 患者等搬送用自動車に積載する資器材
分類 | 資器材名 | 備考 |
呼吸循環管理資器材 | ポケットマスク | |
バッグバルブマスク | ※1 | |
AED(自動体外式除細動器) | ※2 | |
保温・搬送用資器材 | 敷物 | ※1 |
保温用毛布 | ||
担架 | ||
まくら | ※1 | |
創傷等保護用資器材 | 三角巾 ガーゼ 包帯 タオル ばんそうこう | |
消毒用資器材 | 噴霧消毒器 各種消毒薬 | |
その他の資器材 | はさみ | |
マスク | ||
ピンセット | ※1 | |
手袋 | ||
膿盆汚物入れ | ||
体温計 |
1 ※1に示す資器材は患者等搬送用自動車(車椅子専用)への積載は任意とする
2 ※2に示す資器材はストレッチャー及び車椅子等を固定できる患者等搬送用自動車及び患者等搬送用自動車(車椅子専用)への積載は任意とする。
別記4(第15条関係) 消毒の実施要領
1 定期消毒
区分 | 実施内容 |
資器材 | 1 流水による洗浄 2 消毒、殺菌 |
車内 | 1 流水による洗浄 2 消毒剤による清拭 |
備考 | 1 車内で、水洗いを避けなければならない場合は、清拭と消毒用薬剤噴霧による殺菌消毒を行う。 2 実施時には、ディスポーザルのビニール手袋等を着装すること。 |
2 使用後消毒
区分 | 実施内容 | |
血液、嘔吐等による汚染を受けた場合 | 左記以外の汚染の場合 | |
乗務員 | 1 手指の消毒は、前腕部を含めて流水により行い、血液や汚物等の付着がある場合は、特に入念に洗浄した後、消毒用薬剤を行うものとする。 2 口腔内の消毒は、手指を洗浄した後、うがい薬等により行うこと。 | |
資器材 | 1 流水による洗浄 2 消毒剤による清拭 3 消毒、殺菌 | 1 流水による洗浄 2 消毒、殺菌 |
車内 | 1 流水による洗浄 2 消毒剤による清拭、噴霧消毒 | 1 流水による洗浄 2 消毒剤による清拭 |
備考 | 1 車内で、水洗いを避けなければならない場合は、清拭と消毒用薬剤噴霧による殺菌消毒を行う。 2 実施時には、ディスポーザルのビニール手袋等を着装すること。 |
別図1(第23条関係)
患者等搬送事業者認定マーク
○ 地…白色、文字…黒色、マーク…金色
○ 横23.7cm、縦36cm
別図2(第23条関係)
患者等搬送用自動車認定マーク
患者等搬送用自動車認定マークは、自動車後面であって運転者の視野を妨げない見やすい位置に貼付するものとする。
○ 地…緑色、文字…黒色、マーク…金色
○ 直径…9cm
別図3(第23条関係)
患者等搬送事業者認定マーク
(車椅子専用)
○ 地…白色、文字…黒色、マーク…金色
○ 横23.7cm、縦36cm
別図4(第23条関係)
患者等搬送用自動車認定マーク
(車椅子専用)
患者等搬送用自動車認定マーク(車椅子専用)は、自動車後面であって運転者の視野を妨げない見やすい位置に貼付するものとする。
○ 地…ピンク色、文字…黒色、マーク…金色
○ 直径…9cm